瑞希side

えーっと…。ここはこうなって…こうか。よし!じゃあ次!

私は今テスト勉強中。何故なら今週はテストだからっ。でも頭が悪い私にはとても無理。あ、数学以外は結構出来てる方かな…?っどうでもいいか。
「ふぁぁ。」
数学の授業中。頭が回らない。
キーンコーンカーンコーン。
あ、チャイムがなった。今日、渚の家にでも行って数学教えてもらおう!
「渚ー!」
渚の名前を呼ぶけど返事がない。
「渚なら保健室だけど。」
保健室?クラスの子が私に言う。そんな…じゃあ数学どうすんのさ。分からないまま…?ガクッと肩が下がる。あ、でも…保健の先生は出張じゃなかったっけ?
「あのぉ。渚どうしたんです?」
「調子悪いとか…何かで。保健室には先生いないから多分寝てるよ。」
そ…うなんだ。テスト前なのに。でも渚は頭いいからね。はぁ…。
しょうがなく教室で補修する事に。ガラっとドアを開けると誰もいない。しかし机の上にかばんがおいてある。
「…だ、れの?」
しかも私の机に…。名前をみると…。小倉と書いてあった。小倉⁉バサっ。勢いで小倉のかばんを落としてしまった。っと同時に教室のドアを開ける音。そこには小倉が。
「安西?」
あ。この光景どこかで。そうだ!一緒に卵焼きを食べた日!その日も2人きりだったような。
わたしはビックリして後ろへ引き下がる。小倉が近づいてくる。
「…俺のかばんこれだよな?悪りぃ。ちょっと保健室言ってたんだ。お前の席だよな。ごめん。」
っと言って帰ろうとする小倉を私は引き止めた。聞きたい事があった。
「待って!…なんで保健室に?」
保健室…。保健室には渚がいる。先生はいない。だからきっと1人。1人のところに小倉が来て。
「用事。」
「何してたの?」
知りたい。すっごく知りたい。あの間2人きりだったんだよね?何してたの…
「…嫉妬?」
「え。」
「じゃあなっ。」
そう言って帰ってしまった。
嫉妬?何で嫉妬なんっ…。ん?待って…。何で渚が保健室にいるって知っているの?先生に用事があったのなら、いないと思ってすぐ帰ってくるはず…しかもあんな事は言わない。なのに…嫉妬って。分かってて言ったの?用事があるのは先生じゃなくて渚の方?渚となにしてたのよ!
思うだけで溢れてくる涙。いつからこんなに涙出るようになったんだっけ?こんな事思う自分が恥ずかしい。それに…憎い。
「帰ろ…。」
補修なんてする気分じゃなくった。保健室にもよりたくなくなった。ただ悔しかった。


プルループルル…。
『ただいまお電話に出る事が出来ません。』
またか。
出ない。どうして?渚の携帯に何度も掛けても出ない。もう7時…。きっと調子悪くて寝てるのかなぁ。聞きたい事沢山あったのにぃ。メールでもしとくか。

プルループルル…

電話だ!きっと渚から!
「はい!渚⁉渚?大丈夫?…ねぇ?渚返事して?」
少し立ってから。
「…宮野じゃなくて悪かったな。」
電話に出たのは小倉。
「小倉⁉」
何で?何で小倉が⁈もしかして…
「ちゃんと番号よくみろ!俺の番号だろ?」
え。うそ。あ、本当だ。
「…ごめん。」
でも何で私に電話を?
「…あのさ。安西。宮野しらねぇ?」
は?宮野…?渚?何で小倉が渚の事を…?どうして…?
「家に行ってもいねえんだ。」
家に行った?家に行ったの!?どーしてっ?なんの用事で⁉
「…安西?おい?安西?」
ははっ。あんたらはどんな関係なのさっ。私はベッドの上に携帯を落としてしまった。ガクッと肩が下がる。この重みは一体何だろう?携帯から声がする。私はすぐさま切る。嫌いだ。嫌いだ!小倉なんか大っ嫌いだ!渚も嫌い!私が好きなの分かってて…ムカつく!もう!みんな嫌い!大っ嫌い!嫌い!何で渚と小倉が付き合うのよ。もう。2人なんか嫌いなんだからっ!私は大きくうめき声を上げた。今までの中でも最高で最低で最悪な声で。
でも…私って…こうなる運命なのかもしれない。

私はそのままベッドに寝てしまった。

「きゃー!」
ばんっ!
「渚?渚なの!?なぎさぁぁ!」

はっ!
現在7時半。
私は夢を見てた…のか?しかも20分ぐらい。それにしても最悪な夢だった。渚が車にはねられて。それから亡くなって。
はぁぁ。
疲れた。夢を見ただけなのに。こんなに疲れるんだ。
⁉携帯を開けると小倉からの電話が10通も入っている。それからメールも。メールを開けると。

安西大丈夫?電話に出ないから
凄く心配した。それと宮野も。
宮野まだ家に帰ってないらしん
だ。学校にもいなくて。心当た
りないか?あったら教えてくれ。

だった。ふん。嫌いだっ。返信なんてするも…。渚がまだ帰ってこない?私はふとさっきの夢を想像した…。そんな。もしかしたら。夢が正夢になったり…。そしたら…渚が…!
ばんっ!
私は思いっきりドアを開けて出て行った。渚を探すために。
「な、渚!どこ!渚ぁ!」
すると救急車のサイレンの音がする。私はそこへ向かう。たどり着いた…。
⁉そこにいるのは…私と同じ制服の女の子?そしてショートヘアーの…渚⁉
私は近づく。ハッキリ見えたあの顔は…やはり…渚だ。
「な、なぎ、さ。渚っ。渚ぁぁぁ!」
渚が車にはねられた。しんだ?
ポンっと肩を叩かれた。誰?後ろを振り返るとそこにいたのは…小倉。
「…安西。」
小倉?だよね?私は思いっきり抱きついた。小倉に。もう。誰でもいいから抱きしめたかった。何もかも失った気分だ。

次の日

どうやら渚は骨折だけで助かった。
私もホッとしている。だけど…あの時小倉に飛びついて泣きじゃくったの悪かったかな。嫌いなのに…。
私は佳菜美と一緒に渚のお見舞いに行った。
「…渚。渚?」
「え。あ、ごめん。ボットしてた。」
「お見舞いに来たよ。具合い大丈夫?なんか…心配。」
嘘。本当は心配じゃない。…私って意地悪だね。心配しないとか。最低じゃんか。
「はよー治してや!うちこれから用事あんねん。少しだけやったけど…早く学校来てまたいっぱい話そうや。」
そう言って佳菜美は出て行った。
「うわー!美味しそうなりんご!えと。これは…何の花?凄くいい匂い。」
っと少し起き上がっていう。
「うん…。私もよく分からない。」
しんと静まり返る。
「…っあ!そうそう!もうすぐテストなんだよね?私受けられるかなぁ…勉強出来ないからちょっと心配…。」
「…っ渚は頭いいから勉強しなくてもいけるよ…。」
また静まり返る。この空気は何なんだ?今日の私…。
「…瑞希ちゃん。あのさ…ちょっと今日冷たくない?お見舞いに来てくれたのは嬉しいんだけど。何か…いつもよりシカトされてるっていうか…。」
!わたしはハッとした。冷たかった?のかも…。私も調子悪いのか?
「っごめんね!ちょっとぼーっとしてたみたいっ!」
ガラ!
するとドアが空いた。小倉だった。小倉が花束をもってコッチへ来る。
「…安西っ。来てたのか。宮野…これお見舞いだ。ここ置いとくよ。」
え?
「ありがと…。」
え?え?えー?何⁉どういう事⁉もしかして…やっぱり渚と小倉って…。
小倉は私の横に腰掛けようとしている。ここにずっといるつもりじゃ…。私は小倉が座ると同時に立つ。
「安西?」
「瑞希ちゃん?」
「ごめんね。私帰る!お大事に!」
そう言って私は出て行った。何だよ!2人の馬鹿野郎!やっぱり嫌い!!
ぐい!
すると私の腕を引っ張った人がいた。小倉。私は睨む。
「な、何よ。」
「オメー勘違いしてねぇ?」
勘違い?
「何の事よ!」
「だからっ。俺が宮野の見舞いに来てるから変だと思ったんだろ?別にさぁ。そんな理由ねぇから。」
…やっぱわかってたんだ…。
「じゃあ何の理由⁉」
それ以外に何があんのよ!ほんとっヤダ!
「…宮野が説明するっていうから。一回戻るぞ!」
へ?そう言って私の腕を引っ張って病室へ連れて行った。一体何なの?何か…怖い…。
ガラ!
「瑞希ちゃん!聞いて!そこ座って!あのね。私たち…幼なじみなのよ。だから幼なじみだから来てもらった。」
え?幼なじみ?
「だよね?小倉くん?」
「おおー。俺は母さんやばあちゃんに行けって言われて。一応、世話してたからよ。」
小倉の言った事なんて耳に入ってこなかった。だって、幼なじみと聞いたから。幼なじみってお腹の中にいる頃から知ってて赤ちゃんの頃いつも一緒にいる仲でしょ?そんな…そんなのひどすぎる。うう。涙が。涙が溢れてくるよ!
「あ!瑞希ちゃん落ち着」
「ばかっ!落ち着けない!こんな事聞いて落ち着けないよ。何でもっと早く言ってくれなかったの?私がさ…小4から小倉の事好きだったって知ってたくせに。ひどいよ。あんたも大っ嫌いよ!うう!」
そう言って小倉を指した。2人は黙っている。私今好きって言ったよね。でももういい。好きじゃない。嫌い。な、涙が涙が止まらない!やだよ!
「っ…安西。」
「瑞希ちゃん…。付き合ってないのは本当だよ。」
「っ。付き合ってないんだ。っべつに付き合ってもいいんだよ!付き合っちゃえば良かったのに。」
そんな事しか言えない。
とにかく落ち着かなくちゃ。落ち着いて。私。落ち着け。でも…無理だった。
私はその場から逃げ、近くの公園のベンチに腰掛けた。はぁ…。

「あっ。ここにいた。安西。」
え?小倉?追いかけてきたの?やだ。来ないでよ。もう関わらないから。関わりたくないんだよ!
「追いかけるつもりは無かったんだが言っておかなくちゃいけない事があってよ…。」
言っておかなくちゃいけない事?
「な、何よ。」
「…俺は宮野と付き合わない。好きじゃないから。俺の好きな人はここにいる。目の前にいるんだよ。」
え?…目の前?わ、たし?
「…そう。」
私はこれしか言えなかった。1人にさせて。お願い。私はソッポを向いた。
「もーいい?1人になりたい。」
「あっ。ごめん。あともう一つ。…俺が保健室に行った時…何してると思った?」
「し、しらないっ!」
「変な事してると思った?」
「は?変な事⁉」
「たとえば…H。」
「何なの⁉ウザいんだけど!」
「言いたいことそれだけ…じゃ。」
小倉はさみしげに、言う。私はひたすら足を動かして帰った。もう。関わらないから。もう。いいんだ。







秀side

あの日からだ。あの日から俺は安西を本気で好きになったの。前も好きだった。だけど…ふられた。また同じコトになるのか…?
「安西っ。俺は今日からおメーを狙ってく。」
しゃ!なんか気合いが入ってきた!告れっかなぁー?なんて…。
「ふーん。狙ってんだ…。って事はまだ付き合ってない…のね?」
は?後ろから声がする。振り返ると。
「な、中里!」
今の聞かれてた?聞かれたか?
「聞いちゃったぁー。瑞希の事好きなんだー?へぇー?」
「中里っ!おめー。あ!安西に手ェ出すなよ?」
「…安心して?そんな事しないから。ー私には彼氏いるしね?」
か、れしっ?彼氏?中里に彼氏?いたのかよっ!
「だ、誰だっ?」
「さぁー?誰でしょーね?じゃ。」
だ、誰でしょーね? って調子乗ってんな。まぁ…手間が省けたから良かったぜぜ。俺の事を好きになっていいのはただ1人。安西だけだ。

前より普通に話せるようになった。安西からも話しかけてくれる。
「あ!安西!」
「え。小倉っ。」
そうだ。聞きたい事があったんだ。
「俺の事どう思う?」
そう。これだ。好きじゃなくてもいい。でも…友達もやだな…。安西はア然としている。どうしてそんな事聞くの?って感じに。
「っ友達。って言いたいとこだけど…友達以上恋人未満かな?」
友達以上恋人未満…?まぢ…で?
それは俺にとって嬉しかった。好きじゃなくでも…。いつか惚れさせてやろうとおもった。友達以上恋人未満。これが俺たちの関係。