秀side

俺は決めたんだ。安西と仲良くするって事を。そして今日も向かう。自分で作った弁当を持って屋上へと。
思いにも思わなかった事が起きるなんて知らずに。
「安西ー!お待たせっえ?」
安西?安西がいない。いつも来てるはずなのに。教室を確認してもいなかったのに。安西?どこにいんだ?俺は安西を探した。
「どこにいんだよ!安西ー!」
ハァハァ…もう疲れた…。
「…あのさぁ。大声で私の名前呼ぶのやめてくれる?迷惑。」
安西?安西だ!安西を見ると安心する。
ドキドキする。嬉しくなる。
「探したんだぜ?弁当!食おう!」
「ごめん。もう食べた。それじゃっ。」
帰ろうとする安西。もう行っちゃうのか?まて。
「待てよっ!」
「な、なに?」
顔が引きつっている。あ、この前と同じだ。始めて話した時と同じだ。俺が中里と付き合っている、っという嘘をついた時と全く同じだ。
「あん…ざい?」
「あっ、ごめんね。勘違いされると思って。私たちって…なんて言うのかな。つりあわないじゃん?だからっ。ねぇ。もういい?手離して?」
「あ、ごめ…」
つりあわない?俺と安西が…?そう…な、のか?今の言葉、一段と優しかった。
安西…。この星の卵焼きどうしたらいいんだよ…。おい…。






瑞希side

キーンコーンカーンコーン。
「瑞希ちゃん!帰ろ!」
「あ、渚!いいよ!」
あれから小倉…話しかけて来なかったなぁ。⁉何さみしがってんの?自分!
バサっ。
「え?」
下駄箱をあけた瞬間目に映ったのは…弁当箱と手紙…?
今日一緒に食べようと思った
弁当だ!俺が食べんのもった
いないから…。安西食べろよ
この前のお返し。
小倉っ…。弁当箱を開けるとそこには星の卵焼きが…。
「下手。知ってた?卵焼きってカロリー高いんだよ?馬鹿。」
ボロボロ涙をこぼしながら言った私。
「瑞希ちゃん!何泣いてんの?」
うっう!
「ごめんね。先帰って。」
いつもなら待つ渚は私が1人になりたい事に気がついたのか。分かったっといってくれて、帰って行った。
私は星の卵焼きを見つめながら、泣ながら言う。
「ううっ。なんでよ。何でそこまでしてくれるの?どうして?何で私に付きまとうのよ。私、あんたの事思いっきり避けてたのに。何で、傷ついてないの?何で。優しすぎ!
それにっ…この卵焼き…下手だし。」
「下手で悪かったな。」
へ?
「小倉?」
小倉は私の頭をポンっと叩いて…
「お前…ちゃんと星の卵焼き食べろよ?」
…うん。食べるよ。食べてやるし。
「はっきり言って…あんとき傷ついたから。でも、お前が俺の事信じてるように俺もお前の事、信じてるから。」
え?信じてる?信じてくれてるんだ。
小倉…優しい。ほんとっ、完全に小倉のペースにのせられてる。
あの時、傷つかせてごめんね?もう避けるような事はしないよ?だってだって、
「小倉の事が好きだからぁっ。」
グスンっ。本当だよ。好きなんだよ。小倉。好きと言うのは聞こえてなかったみたいだけど。想いは通じてるかな?