瑞希side

気持ちいい朝。今日も新しい一日が始まろうとしてる。
「この前…ヤバかったかな。」
小倉にギリギリな事、言っちゃったし。気づいちゃったかな?私が小倉の事、まだ好きって事。でも相手は小倉。そう簡単には分からないよね。普通に過ごせばいいんだ。普通に。小倉とは…男友達だっ!
教室に入ると佳菜美がいる。私は元気に挨拶をする。
「おはよー!」
「おはよっ。その感じだと…小倉と上手くいったんやな?」
上手くいった?
「ううん。ただ言いたかった事全て言っただけで…小倉には久留美ちゃんがいるしっ?諦める事にしたよ。」
そう。もぅ諦めるんだ。小倉だってその方がイイだろう。
「何言ってんのや⁉諦めるって…あの女に負けたんかぁ?」
「う、ん。もう関わらない。話しかけない。けりつけてきたよ!」
「そぉやったんだ。」
私の声は自分でも分かるぐらいしだいに暗くなる…。やっぱ私、小倉の事…。
「瑞希ー!」
誰かが私の名前を呼ぶ…これは…久留美ちゃん?コッチコッチっと手でお招きしている。
「何や。瑞希。まだ終わってないようやないの。頑張れや。」
終わってない?私の恋が?ふっ。終わってるよ。
「久留美…ちゃん。何か用?」
「別になーんも無いけど。最近どうかなぁーって。」
「余計なお世話!さよなら!」
久留美ちゃんなんて嫌いだっ。あんな意地悪な女見たこと無いし。
「そんな事言わないでよ。秀くんの事、諦めて無いくせに。」
「諦めた。だからバイバイ!」
早く会話を終わらせたい。
「つまんない。まだ戦ってないじゃん。すぐに男ゲットしてもつまんない。本気だしてくれなきゃ。」
本気?本気出してるのに。馬鹿にされるのって腹立つ!
「めんどう。」
私はそう言った。帰ろうとした時。
「まぬけな奴。」
まぬけー?なんなのよ。こいつ!小倉と付き合ってると思うと。寒気する。小倉が可哀想。こんな奴に付きまとわれて。最悪じゃない。こんな奴に…こんな奴に小倉が…⁉いかにも馬鹿にしながら帰ろうとする久留美ちゃんをみて、私は
「あんた、勝てないと思う。私本気出したらあんたぼろ負けだよ。それでもいいなら…。やってやろうじゃないの。」
え?私今なにいった?久留美ちゃんの目はこっちを睨んでる。完全に怒らせた。
可愛い顔がくしゃくしゃになるぐらい…怒らせた。フンっといって帰る久留美ちゃん。はぁ。ため息をつく私。

あーあ。諦めるって言ったの私じゃん。話しかけないとか関わらないって言ったの私じゃーん!何やってんだろ。何であんな事言ったのかなぁ?本気出したら強いとか…そんなの分からないじゃん。
私、勝てるかなぁ。またまた不安になる私がいる。





秀side

俺の足は2組に向かう。教室の前で立ち止まる。
「おーい!中里いるかぁ?」
皆は「中里の彼氏!」とか…色々冷やかしてくるけど嬉しくない。今はそんな気分じゃない。
「あ!秀くん!」
きもっ。中里なんて…嫌いだ。何でこんな奴と付き合ってしまったのだろうと、後悔してる。
「中里っ。屋上へ来い!話がある。」
俺は怒ったように言い、屋上へ連れて行く。屋上へ来た時。
「秀くん?何か怒ってる?」
俺は一呼吸してから言った。
「…怒ってるも何も…俺はお前が嫌いなんだよ。」
「…へ?嫌い…?」
「ああっ。」
「それじゃあ別れるって事⁉」
中里は焦ったように言う。
「別れる?お前と付き合った記憶なんて一切ねーよ。」
そう。俺は…本当に好きな人は中里じゃない。付き合うなんて中里が勝手に決めた事だ。俺には関係ない。
「え!?一緒にいてくれるんじゃなかったの?エロい事してくれるんじゃないの?……ひどい。」
っと中里は口にするが。
「エロい事お前にはしねー。それに…ひどいのはオメーの方だ!…安西に手ェだしてんじゃねーよ。俺、みてたんだぜ?お前の目が安西の事を睨んでるところをなぁ。」
中里は呆然としている。
「安西…。何でそこに瑞希が出て来るの⁉…それにっ。私は秀くんの事が好きなのに。」
「俺は嫌い。」
すぐさま答えた。そして自分の教室へ帰った。
中里。それだけの理由でお前と別れたんじゃないんだ。安西が「信じてる」とか、「感謝してる」っという言葉をもらった後、考えた。安西の言う通り俺は大事な物を見逃していた。ただ目の前にある物を大切にすればいいということじゃなかったんだ。安西は俺の事をどう思ってる。俺は安西の事をどう思ってる。かを考えた結果がこれだ。俺は安西のもとへ向かう事にした。