秀side

今の俺の頭の中はハテナでいっぱいだ。何故か…。安西からの質問で。何故あんな事を聞くのだろう。俺の勝手じゃんか。どうしてだろう。嫉妬?まさかな…まさかあいつなんかが嫉妬するわけないもんな。考え過ぎだ。すると
「おぉーぐぅーらぁぁ!」
誰かが大声で俺の名前を呼んだ。この声は中岡?しかも少し怒ってる様子。
「おい!小倉テメー…。中里と付き合ってんのかっ⁉」
中岡がイキナリ胸ぐらをつかんできた。突っかかってくる中岡に俺は…
「ああっ。そうだよ。何か問題でもあんのか?」
「俺が中里の事好きなの知ってて…本当うぜえ!」
俺は飛ばされた…。中岡っ。どうしちまったんだ?
「まあいい。もう諦めてやる。性格が悪い奴と付き合いたくねぇからな!俺は安西を狙う!覚えとけ!」
中岡…。始めての喧嘩で胸が痛む。そして安西という言葉にピンっと来る。
中岡が安西を狙っている。なんだろ。なんだろう。今、凄く…安西に会いたくなった。俺はどうしちまったんだ?どんな感じなんだ?俺自身、自分の心の中が読み取れない。俺は誰が好きなんだ?
ふと。気がついたら俺は安西を探していた。どこまでも…学校中を探し回っていた。ただ、会いたくて、会いたくて…。
ドンっ!
今、誰かとぶつかった…?顔を上げるとそこにいたのは安西…?いたそうに。腕をおさえて立ち上がっている。俺は聞く。
「大丈夫?」
すると安西はびっくりした顔でコッチを見る。そして、
「やっといた…」
っと口にした。やっといた?
「探したんだよ。」
俺を探してた?なんで?理由は?
「あのさっ。」
安西が先に口を開く。何を言われるのか不安になる自分。
「あのさっ…おめでとう…」
は?は?はぁ?
「何がおめでとう何だよ。」
「だからっ。久留美ちゃんとの…お付き合い…」
付き合い?俺と中里が付き合ってるって事を安西は祝ってるのか?
…祝ってくれても嬉しくない。
「…別にっ。好きで付き合ったわけじゃねーし。」
中里に失礼な事言ってしまったかな。でも本当の事だからイイだろう。
「そうなの?じゃあ、気まぐれ?」
「んなのどーでもイイだろっ。聞きたかった事ってそれだけ?」
俺は安西に会いたかったんだよな?なんだ?この冷たい態度は。自分の態度にイラつく俺。
「えっと。いっぱいある…デートはしたの?とか…手は繋いだの?とか」
は?どんな質問だよ。
「デートはしたよ?それだけ。」
安西は、やっぱり、っと口にした後目をパッチリ開いてこっちを見る。
「あんだよ?嫉妬?」
「はっ?別にそうじゃないんですけどー!勝手に決めないでくれる?」
喧嘩売ってるつもりか?今は喧嘩したい気分じゃないのに。すると、安西は
「私はこれをいいに来たんじゃない!今、久留美ちゃんと付き合ってて楽しいか、本当の恋はそれなのか。聞いてるだけ!」
楽しい?本当の恋?俺を叱るように言う安西に対して俺は
「楽しいさっ。好きなんだからこれが本当の恋だっ。」
っと言うと。安西はさっきと違う雰囲気で
「あっ、そうっか。そだね。じゃ、頑張って。」
少しだけ沈黙が続く。
「…すごい進化だよね。私ここまでいけるとは思ってなかった。こんな、向き合って話すなんて。だから…よく分からないけど感謝してる。何でだろ。信じてるからかな?離れてるとさみしいのは、すぐ会いたくなるんだ。でも…っまあいーや!久留美ちゃんとがんばって!応援してる…よ。」
それだけ言い残した後、去っていった。一体どうなってんだ?自分でも分からない。俺に…会いたくなる?信じてる?感謝してる?
…何がだよ。今考えてようやく分かった。安西の言葉、涙の理由。そして寂しそうな笑顔。安西の言う通り、俺はただ単に目に見えてる物を大事にしすすぎた。何が中里と頑張ってだよ…。涙堪えてたくせに!我慢してたくせに!遠慮してたくせに。もっと甘えろよ。俺の事が好きなくせに。…俺はぁ…誰が好きなんだ?