「今までずっと、光希は私を助けてくれた。だから、今度は私が光希を助ける番よ」
「透子……」
「大丈夫。心配ない。それに、私、嬉しいの。光希はやっと私を頼ってくれた」
光希はまた「ごめん」としか言えない。
透子なら、そう言ってくれるとわかっていた。
わかっていたからこそ、心苦しくなるのだ。
これじゃあ、俺は、透子を利用しているみたいじゃないか。
「ごめんな。俺は、透子にこんなことをさせたくて一緒に生きてきたわけじゃないのに」
「いいの。私が望んだことよ。光希が謝る必要なんてない」
透子は光希の頬に手を添え、くちづけをする。
「光希を愛してる。だから、私は、光希のためだったら何でもできる」
自分の無力さと、不甲斐なさに、打ちひしがれた。
それでも光希は、「俺もだよ」と、声を絞る。
透子はほほ笑みを向けてくれた。
「汚れるのも、ふたり一緒よ」
たとえ、ここが地獄だとしても。
その言葉に、存在に、救われている自分がいる。
「ありがとう、透子」
光希はかすれそうな声で言った。
その夜、ふたりで何度も入念に打ち合わせを重ね、作戦を立てた。
これは、透子を罪の色に染めてまで成し遂げなければならないことなのだろうか?
ふと浮かんだ疑問符を振り払い、光希は心を鬼にする。
すべてはこの街を手にするためなのだから。
「透子……」
「大丈夫。心配ない。それに、私、嬉しいの。光希はやっと私を頼ってくれた」
光希はまた「ごめん」としか言えない。
透子なら、そう言ってくれるとわかっていた。
わかっていたからこそ、心苦しくなるのだ。
これじゃあ、俺は、透子を利用しているみたいじゃないか。
「ごめんな。俺は、透子にこんなことをさせたくて一緒に生きてきたわけじゃないのに」
「いいの。私が望んだことよ。光希が謝る必要なんてない」
透子は光希の頬に手を添え、くちづけをする。
「光希を愛してる。だから、私は、光希のためだったら何でもできる」
自分の無力さと、不甲斐なさに、打ちひしがれた。
それでも光希は、「俺もだよ」と、声を絞る。
透子はほほ笑みを向けてくれた。
「汚れるのも、ふたり一緒よ」
たとえ、ここが地獄だとしても。
その言葉に、存在に、救われている自分がいる。
「ありがとう、透子」
光希はかすれそうな声で言った。
その夜、ふたりで何度も入念に打ち合わせを重ね、作戦を立てた。
これは、透子を罪の色に染めてまで成し遂げなければならないことなのだろうか?
ふと浮かんだ疑問符を振り払い、光希は心を鬼にする。
すべてはこの街を手にするためなのだから。


