「はじめまして、伊吹です、よろしくね」

伊吹と名乗った男は微笑み、そう言った。

…うわ、なんだか、女の子みたい、栗色の少しパーマがかかった触ったらふわふわしてそうな髪、二重で笑ったら無邪気な顔、…綺麗な顔だなあ…。

「ちょっとちょっと、杏!見過ぎだから!」

晴香に言われてからハッと気付いた、ついつい綺麗な顔立ちをしているものだから、見とれてしまった。

「ええと、杏ちゃん?何か飲む?」

クスクス笑う伊吹はわたしにそう問いかけた。