そう言い残し背筋を伸ばし、去っていく生活指導教師を見送り、我等が3-2担任はホッと胸を撫で下ろす。


「で、彼が先ほど言った転校生だ」


 隣に立つ少年の肩に軽く手を置き、微笑み言う。


 今さっき「敬語使え」って怒られたばかりじゃないの?と内心思いながらジッとその少年に目をやる。


 首にかかるほどの焦げ茶色の髪、童顔が人懐っこい笑顔に似合う。真っ黒な瞳が皆を見下ろしながら明るい声で話し出す。


「戸田圭斗、幼い頃はここら辺に住んでました!もしかしたら顔見知りがいるかも知れないです。まぁ、宜しくお願いします!」


 軽く頭を下げ、ニッと笑う。


 つられて微笑むクラスメート。男の子に興味が特にない私は“フン”と鼻を鳴らし、呆れたようにまた窓の外を眺める。