そのとき、階段側の廊下から2人の足音が聞こえてくる。


「お、来たか?」


 徐々に近づく足音に、少し好奇心が沸いてくる。


 どんな人だろう。男の子かな、女の子かな。友達になれるといいな。


 そう思いながら、じっと足音に耳を澄ませる。


 音が教室前まで来たとき、担任と同じ扉から入ってくる“少年”がいた。その後ろにはあの生活指導の教師。


「おぉ、やっと来たか」


「お待たせしました。では私はこれで」


 そう言い残し、くるっと振り返る生活指導教師。


 と、思いきや、またくるっと振り返り、こちらを見る。そしてつりあがっている目をよりいっそうつりあげ「大谷先生」と。ちなみに、大谷先生というのはこのクラスの担任である。


「生徒の前でも敬語と何度言えばわかるのですか?少しは私を見習いなさいな」


「は、はぁ・・・・・・」


 軽く頭を下げ、苦笑を浮かべている。