中学最後の夏休み。


 あっという間に終わって、ついに来た。2学期。


 3-2のがら開きだった前の扉を背の高い、若い担任が元気よく入ってくる。



「よぉ、皆久しぶり」


 皆、口々に「久しぶり」だの「焼けてるねー」と言い合う。


 窓の外をぼんやり眺めている私以外は。



 あぁ、今日も天気がいいな。


 雲ひとつない真っ青な空。直接日差しにあたると、額が汗ばんでくるのが分かる。


 暑い・・・・・・。


 そう思い、道行く人を眺めていると、前の方から私を呼ぶ声がする。



「ぉぃ・・・・・・おい、青木!」


「え、あ、はい!」


 思わず立ち上がる。一斉に笑いが巻き起こる。


「おいおい・・・・・・委員長の青木春が初っ端から何してんだぁ?」


「すみません」


 軽く頭を下げ、席に座りなおす。未だクスクス笑っている声が聞こえてくる。