―美音 Side―
「杏」
杏の顔は悲しそうで、どこかせつなくて。
あの先輩のこと、聞きたかったんだろうな…って感じる。
「ん…?美音、どうした…?」
むりやり笑顔を作る杏。
こんな親友を、このままにしておけなかった。
「次…サボろ?」
私の言葉に目を見開く杏。
…そうだよね。
私、サボるということを一回もしたことがない。
ちゃんと授業うけないと、勉強追いつけなくなるから。
でも…。
今は親友優先で。
杏の隣の有原がまだ席にいなかったので、その前の席の女子に頼んだ。
「私と杏、体調悪くて保健室行ってるって言っといてくれないかな?」
その子は、快くOKしてくれた。
「杏…。行こ?」
うん、と小さな声で返事をしてくれた。