もちモノガタリ



「もち男ー? 入るね」


暖かな部屋に、優しいノックの音が入ってくる。

柔らかな声と、良いにおい。

そんなことはないはずなのに、嗅ぎ慣れたにおいのするベットから身を起こすと、心配そうではあるけれど笑顔の人がいた。

髪の、長い。

鏡の中の自分とどこか似ている人。


「あれ、起きちゃった? ごめんね、寝ててもいいよ、辛いでしょ」


「いや・・・・・・」


手で支えているお盆に乗っているのは、お粥・・・・・・かな。

よくわからないけれど。


「どう? 朝よりよくなった?」


「・・・・・うーん」


「喉は? 平気?」


「どうかな(も´・ω・`ち)」


「ゆっくり直せばいいからね。はい、水」


水の入ったグラスを受け取ると、冷たさが手から伝わって。

なんかぼやけた視界に、落ち着かない心に、重たい体。

いつから自分はこんなに人間らしくなってしまったんだろう。