そして。


「ごめんなさい」


小さく区切られた言葉が、4人の輪の中に凛と響き渡った。

見ると、もっちーが深く頭を下げている。

その延長線上にいるのは、辛そうに咳をしたふーみん。


「たぶん、風呂敷の傘を持って行ったのは、僕だと思う」


「・・・・・・は?」


真剣な声色に呆気にとられたふーみんが、疑問符を浮かべて見つめる。

傍にいたきーさんは眉をひそめているふーみんだけを見つめているし、青い人は空気を読んだ顔をして、もっちーとふーみんを交互に見つめていた。


「坂井さんどうする?もっちーが坂井さんの傘パクったんだって」


「どうするも何も・・・・・・え?何この空気、重い」


「ごめん、風呂敷」


「・・いや、いいよ別に。ってか、え?なんでそんな深刻な顔してんのもっちーw は?意味わかんねぇw」


一瞬だけ息に詰まったが、ほとんど考えずにふーみんは言葉を紡いだ。

嘘をついているとは思えない、素直な声で、笑いながら、少しだけ戸惑いながら。


「でも・・・・・・」


「まあもし本当にもっちーが傘をパクったんだとしても、名前とか書かなかった俺の落ち度じゃんw それに俺は前期級長だったからもうお役御免だけどさ、もっちーは今が旬な後期級長なんだから風邪なんか引いちゃダメでしょw」


「きゃー坂井さんいけめーん」


きーさんの棒読みの歓声を聞きながら、ドヤ顔をするふーみん。

けれどすぐにやさしそうな顔に戻って


「俺のほうこそ紛らわしい傘でごめんね、もっちー」


コホンと、小さく咳をした。