もちモノガタリ



外は相変わらず雪が斜めに降り続き、校門にたまる輩も傘に雪を積もらせながら凍えている。

寒いならさっさと帰ればいいのに。


「はい、坂井さん。半分コ」


バサッと開いた傘を半分、ふーみんの頭上に掲げるきーさん。

校門にたまっている大勢にその姿を見られているのだが、男子はともかく、女子はキャーキャー騒いでいる。

いたたまれなくなったのか、せっかく差し出された傘から逃げるように身を引いたふーみんは、コートのフードをバフリとかぶる。


「いいよ、keyman。・・・・・・お前の肩濡れんじゃん」


俯いているのにプラスしてフードで顔半分が隠れてしまっていて、表情は伺えない。

ただ、ふーみんのその一言は、雪が地面に降り積もる音でさえうるさいと感じてしまうくらいに、消えてしまいそうなほどに。か細かった。


「どうせ俺のコート、防水対応だし、いいよ」


そう言って、雪の地面に足を踏み出す。

きーさんはしばらく黙ってそれを見つめてから、とてて と後をついて行った。


もうあたりに人はいない。

雪だけがしんしんと降り続く中、俯いて歩くオレンジのリュックを追うように歩くきーさん。

すっかり雪をかぶってしまって、すごく寒そうに見える。

寒い、だろう。

時々吐き出される白い息が、顔をかすめていく。


「風呂敷」


スキップするように、2、3歩走って、ふーみんの隣に立った。

あまりに近い距離。

それは自然と、


「き・・・・・・」


「なあに、坂井さん?」


「え、あ、いや・・・・・・」


「俺ただ、寒さに凍える坂井さんの真っ赤な顔が見てみたいなと思っただけだし。ほら、鼻、真っ赤。赤鼻のトナ坂さんになってる」


ふーみんの頭上に、半分だけ差し出された、ビニール傘。