もう一度、自分のクラスの傘立てを捜してみるけれど、やはりない。
たしかに自分の傘はどこにでもあるビニール傘だったが、目印にと、傘の柄の部分に餅のシールが貼ってある。
それが、見つからない。
「どうしよう」
かなり真剣に悩むもち。
すると後ろから肩を誰かに叩かれた。
「おーいもっちーくーん。そんなとこで何やってんの?」
長身のるんるん男こと、青い人。
青い人はコートではなくおそらくパーカーの部類に入るふわふわな黒を着ていた。
あったかくはなさそうだけれど、ネックウォーマーに顎を埋めているため、寒くはなさそうである。
そんな青い人に声をかけられ、もっちーは泣きそうな顔で見上げた。
身長が足りない。
「いや、僕の傘が・・・・・・どうしよう、青くん(´□`。)」
何か矢のようなものが青い人の心を射ち抜いた。
「ま、まぁ、こ、ここ、こんな雪だし・・・・・・俺の傘に入れてやろうか//」
「え、いいの?(・□・`)」
「・・・・・・風邪、ひくだろ」
「ありがとう・・・・・・。やっぱり青は優しいね。でも、いいよ。僕はもう少し捜してみる」
「手伝うよ」
「ううん。大丈夫。青も早くしないと、風邪ひいちゃうからさ、ね?」
終いにはもっちーに微笑まれてしまい、どう返せばいいのかすらわからなくなった青い人は誰よりもぽっかぽっかな気持ちのまま帰って行った。
もっちーの絶大なる人気は女子だけにとどまらないらしい。

