「桐山くんて、けっこうかっこいいと思う」
「え」
たしか、そんなような言葉だった。
至って平和な休み時間。
晴れた日差しが差し込むベストな窓側の席で、体を横向きにしながら後ろの席を振り返っていた
横山 線香[よこやま せんこう]
通称、「線香」。
が、
こともなげに呟いた。
対して、
机に落書きしながら会話していた
浅野 星[ほし]
通称、「星」。
が、驚いたような顔をした。
二人が前後の席になったのは今回の席替えが初めてで、よく話すようになったのもそれがきっかけだった。
常にどうでもいいようなことで盛り上がっていた二人だったが、さすがに先程の線香の発言には驚くしかなかった。
「え、目おかしいんじゃないのww」
「いや、普通にかっこいい方だと思う」
「マジかwww」
なぜか無駄に冷静なままの線香に笑うしかなかった星は、次の休み時間に当の本人を偵察に行くことで
「ああ、まあたしかにかっこいいかもねw」
と納得したのだった。

