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「うひゃー、朝からモテまくってますなぁ、悠ちゃん!さすが男前コンテスト優勝者!」

「何?陽奈は、女子から欲しいの?ラブレター」

「いらない、いらない!他人事だから面白いんじゃん!」

「…」


朝、靴箱に靴を入れるとき何かを見つけた。

(手紙…じゃないな、ラブレター?今どき、こんなとこにラブレターって…)

靴箱に入っていたのは、白い封筒に赤いハートの手紙。

どこからどうみても、王道な、ラブレター。


「ーっと、昼休み屋上で待ってます」

「あはは!完璧告白じゃん!面白そうだから見に行こう!」

「陽奈ってば!」

「冗談だよ!冗談!…」
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「とでも、言うと思ったか!?」

(悠の女子に対する断り方、見てみたかったんだよねー!)

工藤陽奈。

悠の唯一無二の親友。

というか、女子で唯一無二の悠に惚れなかった人物。

前までは、悠の親友には加賀見遥という人物が居座っていたが、悠に告白し振られ、傷心し転校。

かなりの美少女だったため、男子の間でもファンクラブが存在していた。

男子は遥を悠が振ったことに対し(当たり前だが)怒り悠をいじめようとした。

ファンクラブ男子35人VS悠。

どう考えても、分が悪い。

悠の運動神経はいい。

だがそれも女子の範囲での話。

男子を越えることは不可。

悠が、いじめられそうになった時、悠を救ったのが工藤陽奈だった。

「男のくせに情けない。馬鹿らしい。悠さんだって、女の子だよ?高校生にもなって情けない。情けなすぎる。幼稚園からやり直せ。むしろ、しろ。あーでも幼稚園児に失礼かー。幼稚園児だって、こんな事をしないもんね。悠さんはカッコいいけど女なの!!じゃあ、アンタ逹は可愛い子しか女子って認めないの?あんたら程度が、女の選り好み出来るわきゃねーだろボケ。あんたらがアイドルのトップ取れたら、謝ってやんよ!全裸でたこ踊りしてやんよ?それでもアンタ逹みたいな心も貧相な奴らがアイドルのトップなんか取れねーよ。それに…」

「こらお前ら!」

「キャー先生、ここですぅ!!私がノコノコ、悠さん一人で助けると思う?」


逃げる男逹。


「あ…ありがとう」

「どーいたしまして」


工藤陽奈を一言でいうと、天真爛漫な悪魔。

打算家なのだ。


(あの時から、悠ずっと女子にモテモテだなぁ…あ!相手の子だ。ってあれ!?)

告白の相手は、美少女コンテスト優勝者。

姫野美咲だった。


(あららーまた、男子に敵作っちゃうね、悠。御愁傷様)