「行こ!」


あたしはななの手を握った。

そして校門に向かって走り出す。

ななの顔は少し驚いた表情に変っている。

あたしはそれを見てにっこりと笑った。


一人残されたおじいちゃんは満開に咲いた桜を見上げた。


「今年もきれいに咲いたなぁ…ん?」


よく見てみると小さな蕾がある。


「…こりゃもっときれいな、大きな花が咲きそうだ」


そう、そっと呟いた。