星空の魔法

『純平の母さんは、満たされてるんだ』

長谷部さんは笑いながら言った

『完全に満たされてるって言ったら嘘になるけど、それなりにね』

『羨ましいなぁ』

長谷部さんはため息をついた

旦那との体の相性は良かった

旦那はあたしを求めていたし、今でもそうだと思えてる

長谷部さんの話を聞いてると、あたしは幸せなのかなって思えた

『奥さんに愛情をちゃんと持ってたら、きっと大丈夫なんだよ』

『愛情かぁ。しばらく忘れてるかな。もう長く一緒に居すぎて』

『それはダメだよ』

長谷部さんは結婚が早かった

20歳で結婚してて、長女が高校3年生だった

その下が和希くんで、その下に小学3年生の女の子が居た

奥さんとは職場結婚で、長谷部さんよりも3歳年上の奥さんだった

羨ましい家庭だと思ってた

何の悩みもないだろうなって、勝手に思ってた

悩みの無い人間なんて居ないんだなって思った

長谷部さんは星空を見上げながら、何かを考えていた

あたしも同じ星空を見上げた

無数の星たちに、吸い込まれそうになってしまう

とにかく綺麗な星空は、キラキラ輝いて、あたしたちの上で輝く

流れ星でも見れるかなって期待する