星空の魔法

もう一度、ゆっくりと抱き寄せられた

少し高くなったマウンドの上で、ギュッと抱き寄せられているあたしの心臓は鼓動を早めていた

そして、長谷部さんの鼓動も伝わってくる

とても早い鼓動だった

あたしは、今だけだと言い聞かせて、長谷部さんの背中に手を回した

そして、ギュッと抱きついた

そしてすぐに後悔が訪れる

長谷部さんは、体を少し横に倒して、あたしの顔を覗き込んで、顔を近付けてきた

あたしが抱き合う事を許した事によって、長谷部さんは次を求めてきた

そんなつもりはなかった

こうなるつもりは全くなかった

酔った勢いだったからなのか

背中に回してしまった手の事を後悔する

でもすでに、遅かったのかもしれない

あたしは、近付けてきた顔を拒んだ

顔を横にそらして、その近付けてきた顔を見ないようにした

そして、そっと長谷部さんの体から離れた

あたしを離すまいとしている長谷部さんの手もゆっくりと離した

長谷部さんに背中を向けて、ベンチに戻ってまた缶酎ハイを飲んだ

長谷部さんもあたしの隣に座って、缶酎ハイを一口飲んだ

2人でタバコに火をつけて、また星空を見上げていた

星たちは、キラキラと輝いているだけだった