愛羅ちゃんの話をまとめるとこうだった。
彼女はとても体が弱くて持病もちだった。
今年に入って病態が悪化して外に出ることもあまりよくない状態になってしまった。
両親はそんな彼女を見捨ててお姉さんとともに家を出て行ってしまったらしい。
「ごめんなさい。こんな話してしまって...話せる人がいなくて。クラスのみんなもだんだんお見舞いに来なくなってしまって...」
「ううん...一人で淋しかったね。」
俺はそれくらいしか言ってあげることができなかった。
でも、彼女はそんな俺の言葉に涙を流した。
「っ....ごめんなさい。こんなこと言ってくれる人初めてで...っ。」
俺は自分ではよく分からない感情に陥った。
そして.....
「....!?」
「気が済むまでこうしていてあげる。」
無意識のうちに彼女を抱きしめていたんだ。
桃のようなやわらかい香りが鼻腔をくすぐる。



