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「…30年も想い続けるなんて、ご苦労な事ね。」
「仕方無いだろう、君を心から消す事なんてできなかったんだから。」
「私は君に、幸せになって欲しかった。」
「私は十分幸せだったよ、君を想い続けて死ぬ事が出来た。」
「…私の事を、忘れてほしかった。」
「私にとって君を忘れる事の方が、死ぬより辛い事だったんだよ。」
「…ほんと、ばかだよ…っ」
「…迎えに来てくれてありがとう。」
微笑みを浮かべて事切れている老人の横たわるベッドの傍に、割れた写真立てが落ちている。ひび割れたガラスの中にある写真に写る彼女は複雑そうな表情を浮かべているが、何処か幸せそうにも見えた。
12㎝の君 end.
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