12センチの君



 青白い蛍光灯の光さえも眩しく感じるようになってしまった自分の衰えた身体をベッドに横たえつつ、私は手に持っている写真立ての中の写真をじっと見つめていた。30年以上も前に撮った写真は大切に扱っていても重ねた時の分だけ色褪せており、彼女の背景にある綺麗な紅葉はただの真っ黒な影にしか見えない。

 しかし、私はこの写真を見るたびにこう思うのだ。写真の中央に写っている彼女の姿だけは、いくら写真自体が色褪せても決してその美しさは変わらないと。