「………夢…。」



ふと目を覚ますと、自分が夢を見ていたことに気が付いた。

懐かしい夢だったなぁ…。


あれから数週間、年度が変わり、4月。
私は高校3年生になった。



『次は、市役所前、市役所前です。』



聞き慣れたアナウンスがかかって、開いたドアから斗真が乗ってきた。



「…おはよう、美由里。」

「おはよう、斗真っ。」



柔らかく微笑む斗真に、私は満面の笑みを返した。

最近では毎朝同じバスに乗るのが日課だったりする。



「寝起きの顔してる。」



そう呟いて私の目に親指を滑らせた。