「帰るよ。」



そう言って斗真は私の手首を掴んだ。



「あっ、待って!」



歩き出そうとする斗真を引き留めた。
…振り返った斗真は少し不機嫌だった。

だけど、私はそれを無視して一樹さんに言った。



「わ、私の幸せは私が決めます!」



内村くんに、一樹さんに、このままじゃ幸せになれないと言われても、幸せそうに見えないと言われても、

私の幸せは私が決めるから。



「…美由里ちゃん今、幸せなんだっけ?」



一樹さんの表情が和らいだのが分かった。



「…幸せです。」



やっぱり、一樹さんは優しくていい人だ。