「ごめんね、“内村くん”。そんなこと言わせちゃって。」

「っ…、本当だよ、こんな教室のど真ん中で…。」

「あ…あはは♪」



気付けば周りの視線が痛いくらいだった。



「ありがと、内村くん。」



うっちー……内村くんは、そのまま優しく笑って自分の席に戻っていった。

呼び方を変えたのは、私なりのケジメのつもり。



「ちょっと、よかったの? うっちー。」

「杏。」



すべて聞いていたらしい杏は私の席に来ると、いきなりそう言った。



「もったいない。」

「…いいの。」



やっと前に進めるんだから。

バレンタイン、か。
用意だけしたい…かな、なんて。