斗真さんの表情が険しくなる。



「それを渡したかっただけなので。」



そう言って私は立ち上がった。


封筒の中身は万札52枚。
斗真さんに払われたお金だ。

一切手はつけていない。



「…君は、何が欲しいんだ…?」



呆然と呟いた斗真さん。



「……温もりと、安心。」



呟くように、だけどしっかりと答えた。



「…温もりと…安心…?」

「愛が添えてあると…嬉しかったかもね。」



そう言って、私はカフェをあとにした。

全部、これで…終わったんだ。


斗真さんは、追いかけては来なかった。