軽く揺れるロッキングチェアに、そっと近づく。

背もたれに手を掛けて、月を見上げて囁いた。


「月が綺麗デスね。」


景時は最近、夜がキライ。
月がキライ。

夜になると、月がうさぎをドコか遠くに連れ去ってしまうから。

だから、月が高く昇ってうさぎがロッキングチェアを揺らしだすと、なんだかんだと下らないコトを話しかける。

邪魔かなー、とは思うケド。
実際、邪魔してるンだケド。

イイでショ?
俺の仕事中は、月見し放題なんだから。

俺がいる時くらい、心ごとココにいて。