だが、勇気ある一人のオタク様が、腹の肉を揺らしながら進み出た。
「彼女を返してもらおう。」
「は?
うさぎはアンタらのじゃねーから。
俺ンだから。」
常備しているのだろうか、タオルで汗を拭うデブを、景時は睨みつけて威嚇する。
(やっぱ、変なモンが憑いてンのか?)
返してもらおう
その言葉…
景時や薫が知らないうさぎの過去に、関係がある者かも知れない。
まさか、コイツらが追っ手?
どんな事態にも対応できるよう、全身の筋肉を緊張させ、精神を限界まで張りつめた。
隣にいる薫からも、戦闘モードに入った気配を感じる。
返さない。
渡さない。
うさぎを守る。
デブの口が開く…
その言葉は、景時と薫を驚愕させるものだった。



