土に?
一瞬で?
短時間にも程があンだろ。


「モウ、十分デス…」


サラサラと流れ出る土を茫然と眺めながら、秋時が言った。


「これで?
『ばいと』とは、楽なものじゃな。」


いや、フツー楽でもねぇから。
うさぎダケだから。

生え際から黒くなる髪を靡かせる彼女の後ろ姿を、景時と秋時は口を開けたまま見送った。

鬼神、半端ねェ…

後日、うさぎに届いた小切手を見た景時が、秋時に電話をかけた。


「コレ、桁一つ少なくね?
フツー解体費用って、ウン千万…」


『やっぱ労働は、汗かいてナンボでショ。
その辺のキビシさを可愛い生徒に教えなきゃね、教育者として。
てなワケで、残りは学園への寄付ってコトで!』


プチっ!



教育者、半端ねェ───!!

とは言え、これだけあれば好きなダケ買い物にも行けるだろう。

バイト危機はひとまず去った。