これはごく最近のこと。

私と坊やが里に戻り、母上様は庵を出て行かれた。

でも三日と空けず、食料や衣類を持って訪ねてきて下さる。

この日は
「月夜もたまには休むが良い」
とおっしゃって、坊やを遊びに連れ出して下さった。

夕刻、元気な笑い声と共に戻った二人。


「鬼ごっこをしておった!」


「おーにーごっこー!!」


「…」


顔から髪から着物から、足元に至るまで泥だらけ。

やんちゃ盛りの坊やにはよくあることだケド、母上様まで…

呆気にとられる私を見て、母上様は正気に戻られたご様子。

ご自分の着物を見下ろして…


「…
洗えば、落ちるであろうか?」


悄気たお顔で首を傾げる母上様…

うん、可愛い。
可愛いケドも。

子供か─────?!
アンタ、坊やと横並びか──?!

あぁ、ツッコみたいけどツッコめない。

神と呼ばれる存在でありながら、子供と一緒に全力で遊ばれる母上様。

ソレ、なんてリアル鬼ごっこ?など、月夜は想像したくもございません。