「私も、ゼンキがイヤって言うまで離れないぃぃ。」


「今度ノ 休ミノ前ノ晩ニ、三人デ 星ヲ見ニ行コウ。
一番キレイナ星ニ、千景ノ名前ヲ付ケヨウ。」


「ほんと?
星座も教えてくれる?」


「…
『便座』モ アルケド…イイ?」


「ゼンキが言うなら、『便座』もロマンチックだわ。」




そろそろ勘弁して。
砂吐きそう。


「愛シテルヨ、千景。」


「愛してるわ、ゼンキ。」


他の夫婦と違っていようと、気にならない。
残り少ない命だろうと、構わない。

共にいられれば…

お互いの愛を唇に乗せ、ゆっくり交わ‥‥‥

音もなく忍び寄ってきた気配に、二人は慌てて飛び退いた。

小さな手で目を擦りながら、二人の愛の証が夢見るように呟く。


「ぼくも、ちゅー…」


あたたかい笑いが、田舎の一軒家に満ちた。