夫には、妻と息子に負い目がある。

その負い目のせいで、逆転夫婦を余儀なくされている。
その負い目のせいで、不便な田舎にしか住めない。

その負い目のせいで、カワイイ息子は重い枷を背負っている。

その負い目のせいで、一家の生活には期限がある。

その負い目のせいで、夫婦の命には期限が…

夫は考える。
夕暮れに、洗濯物を取り込みながら。


(モシ、彼女ガ 解放ヲ望ムノナラ…)


俺は、妻の前から消えよう。

俺が、妻を狂った運命に巻き込んだのだ。

俺がいなければ、妻は当たり前の幸せな一生を送ることが出来るのだ。

誰よりも妻を愛している。

誰よりも妻の幸せを願っている。

俺がいなくなることで妻が幸せになれるのなら、喜んで身を引こう。

だが…

だが、息子はどうなる?