薫が突然立ち上がり、驚いて手を離したうさぎを軽々と抱き上げた。

そのまま彼女を涙目の景時に手渡す。


「家でやれ。」


「薫…
アイシテルヨ…」


「は?
景時、そなたまさか…
だだだ男色‥‥‥」


心からシアワセそうな景時と、ナゼか青ざめた顔で抱かれるうさぎが、リビングドアの向こうに消える。


「ありがと、薫!
おじゃましましたー!」


「待て、景時。
妾はどうすれば…
薫…
助けてくれ、薫───!!」


バタン…


(疲れた…
異様に疲れた…)


もう筋トレする気も起きない。

またとんでもない誤解が発生したようだが、もう知ったコトか。

鍵を閉めよう。
チェーンもかけよう。
チャイムが鳴っても、絶対出ない。


(シャワーでも浴びよ…)


薫は大きな手で首を揉みながら、バスルームに向かう。