うさぎは、よいしょ、と自分と同じように窓枠に腰を下ろしたその少女を見て、困ったように眉を下げた。

可愛らしい顔をしている。
まだ10才くらいか?

こんな時間にフラフラ夜遊びしているなんて…


「あたし、100点取ったの。」


少女がコートのポケットから、折り畳まれた紙を取り出した。

うさぎの言うことを聞く気はないようだ。


「ほう。
それは頑張ったな。」


「でしょ?
前は60点だったンだよ?
いっぱい勉強したの。」


薄い胸を精一杯反り返らせる少女に、うさぎは思わず微笑んだ。


「そうか、良い子じゃな。
両親の自慢の娘であろう。
早く帰」


「帰らない。
パパとママ、ケンカばっかりしてて、あたしの話も聞いてくれないの。
今日も、テストも見てくれなかったの。
だからあたし、家出したの。」


景時風に言うなら…
マジデスカ。

今夜もゆっくり月見できそうもない…