「イイなぁ、佐々木センセー。
一つ、もーらいっ☆」


感動に浸る佐々木の横から伸びた手に、紙袋に残ったマフィンがかっ攫われた。


「…へ?
理事長?」


「旨っ?!
うさちゃん、お菓子まで上手に作れンだ。
早く嫁に来ねぇかなぁ…」


いつも通りの軽い声でボヤきながら、うさぎとは逆方向に去っていく理事長…







あの人… ナニ食った?

正気に戻った佐々木は、血走った目で紙袋の中を覗きこんだ。


(ねぇぇぇぇぇ!!!!)


食われた!
二つの内の一つを食われた!

ナニしてくれてンの、あの人?!

俺の心の支えを─────!!

あり得ん。

アレが慕われるなんて、あり得ん。

理事長 >>>>> 佐々木
なんて、あり得─────ん!!


(おまえには、絶対負けん!!)