「とんでもないことになっちゃったよー……」 久々の登校日。 私の席で、茉希に愚痴る。 「黒崎くん……あっ、黒崎郁弥くんのことなんだけど」 “黒崎くん”って言うとお隣の黒崎くんに見られちゃうから、“郁弥”を強調する。 お隣の黒崎くんは、相変わらずな黒ぶち眼鏡に目が隠れるくらいの黒い髪の毛。 「どうしたの?」 前にいる茉希に言われて、ハッと顔を戻す。 危ない危ない。 思わず見つめてしまった。