H*B プリンセス



「おさまった?」



ペットボトルから口を離すとそう聞かれて、こくりとうなずく。



もう涙は乾いたし、大丈夫。



「ほんと、ありがとう」



最後にお礼を言うと、「だからさっき聞いたって」と苦笑する。



「バイバイ」と言いかけて、同じ電車だということを思い出してちょっとだけ気まずくなりながら乗り込んだ。



「ちょ、っと!隣はだめだよ隣は!!」



気まずいと思ってたのは私だけだったみたいだけど。



驚いたことに私が座った隣に座った黒崎くんは、平然としてる。



私が慌てると、なんのことか分からないとでも言うかのように、首をかしげる始末。



「見つかったりでもしたら大変だよっ」


「まぁ、平気だろ」



いやいやいや。なにを考えているんだか。



黒崎くん、マイペースすぎる……。