H*B プリンセス



隼人は、悲しさの混じった笑みを見せる。



「ちがっ、あの、今のはちがうの。久しぶりで緊張してて……」


「うん、平気」



どうしよう。なにか話すこと……。



頭をフル回転させて考えていると、先に隼人が口を開いた。



「柚奈、どこ行きたい?」


「隼人の行きたいところでいいよ」



条件反射で答えて、隼人の返事を待つ。



会話するのは久しぶりで、いつもどう返していたか忘れてしまった。



だけど、こんな感じだったと思う。



いつもみたいに好きなところに連れていってもらいたいのに、私を見たまま視線をそらさない。



その行動を不思議に思いながらも「どうしたの?」なんて聞けなくて。