H*B プリンセス



待ち合わせはいつもと同じ、駅前の広場。



13時ぴったりにそこに着くと、珍しく隼人は先に着いていた。



「ごめんねっ……、待った?」


「いや、久しぶり」



“久しぶり”。



この間のことは、なかったことになったのかな。



「う、うん……久しぶり。ね、どうしたの……?」



問い詰めることができない私も私。



私の問いに答えずに、歩き出してしまう隼人。



慌てて後を追うと、立ち止まって私の手を握ろうとする。



思わずビクっと手を引っ込めて、ハッとした。



あ、れ……。今……わたし……。



空いた手を見つめて、我に返る。