「……立花柚奈っ!?」
「あっ」
女の子が大きな声で叫んで、声をあげた私の手を素早く引いて外へ飛び出す茉希。
しばらく走って人通りの少ない路地へ入ったときには、ふたりとも息が切れていた。
「はあっ、ごめ……っ柚奈、空回りしちゃった……」
そう言って茉希が泣きそうな顔をするから。
「う、ん……うん、ありがとう」
「……うん」
私はうなずくことしかできなくて。
ふたり同時に歩きだしたのは家の方向。
茉希と私は家も近所だからいつもたくさん話しながら帰るけど、なにを話したのか、どうやって帰ってきたのかも分からないまま、気づいたら部屋のベッドにいた。