「美咲!」


勢いよく水をかけられて、目をつむる。
かけられた水が目に入り、こすりながらその相手を睨むと、楽しそうに笑いながら近づいてきて。


「お疲れさま」


……反則。頭を優しく撫でられて、少し照れながら見上げた。


「そっちこそ。優勝、おめでと」


わざとぶっきらぼうに言うと、一瞬目を見開いてから私の髪をぐしゃぐしゃにした。


「ちょっと、やめてよ」


頭を押さえると、満足したのか手を離してくれた。

璃久は今日、陸上の県大会で優勝した。
マネージャーとして近くで支えてきた私にとっても、それはすごく嬉しくて。


大会の後、ふたりで帰りに川原で寄り道をした 。