息を切らしながら玄関を開けるとライオンがしゃがみこんでいた。
「はぁ、はぁ…な、にしてるの?」
「遅ぇから」
「あぁ…ごめん。」
「で?片付いたのか?」
「あ、うん。あがっても大丈夫だよ」
ライオンはそっかっと呟いて玄関に入った。あんまり怒ってない?なんか不思議だけど今はいいや。
「…(そういえば母と父の靴が…ない?)」
「………静かすぎねぇ?」
「もしかして…」
あたしは、また猛ダッシュ。今度はリビング。
「っ、やっぱり…」
机の上には母が書いたであろう置き手紙があった。
奈々へ
パパとデートしてくるわ♪ご飯は和也の分も作ってあげてね?
ママより
「(…なんということだ)」
「お前ん家、広すぎだろ」
「、!そぅ?」
「あぁ、一瞬迷子になった」
不良が迷子になるのを想像して笑いそうになったけど、笑ったら怒られるから必死に堪えた。
「あ?親いねぇーの?」

