「俺、腹減ったなぁ。ねぇ、千鶴案内しろよ」
「う、うん…」
周りを見渡しながら適当に返事をする。
食べ物か…
なるべく学生が居ないところにしなきゃ。
「はぁ……」
あたしは、竜騎がため息をついた事になんか気付くはずもなかった。
だ、だって―――
かなり遠くだけど、正面から同じクラスの男子が3人で歩いてきている。
これはまずい。
前には油断してた。
パニックになっている間に段々と縮まる彼らとの距離。
ど、どうしよう、このままだと――――
「…ちょっと来い」
いきなり竜騎に腕を掴まれ、背筋がヒヤリ。
こんなの、見られたらお仕舞いだ。
「やだ、やめてよ。離してっ!」
急いで離れようとするが、竜騎の力には敵わず、そのまま横道にあった人気の少ない通路に連れてこられた。
もう、最悪。

