「おはよ」
「またね」
こんな簡単な挨拶が出来ない
僕には、勇気がない

『彼女』はなんて想ってたんだろう

ザァァ……

「雨だ」
「マジかっっ」

本日も雨
ここ最近雨が続く

「やべぇ〜………今日傘忘れた……」
「一時止むからって気ぃ抜くなよ」
「井ノ上〜…傘〜…」
「しゃーねーなー…」

本日も友人に『傘』を貸すいつだって俺は傘を二本持っている


何故かって…?

『彼女』がいたからさ



『井ノ上君!』
「何?」
『傘ある?』
「あっ………うっうん」
『貸して!!』
「えっ……うっうん…」

゚。+゚。
僕は
彼女に
一目惚れをした


彼女は僕と違って

頭も良いし
皆に好かれて
優しくて



<好き>
僕は一発でそう想った


彼女の全てを知りたい
彼女に触れたい
彼女に「翼」って言われたい

ずっと
ずっと


想った



でも







なんで






『彼女』

いなくなって








しまったんだ






なんで

彼女が死ぬ理由なんてない彼女が電車に引かれる理由なんてない
彼女が僕の目の前から消える理由なんてない




ない



なんでだよ




なんで…………

☆+。゚゚

僕は何度も<死のう>とした

『彼女』の元へ
行こうと

何度も

何度も

何度も


何度も

考えてた

やろうと…………



でも



僕には、勇気がない

「んじゃな井ノ上」
「あっ……あぁ」

また
思い出してしまった


「だから、雨は……嫌いなんだよ」



会いたいよ


でも

会ったとしても………



俺には
見せる顔は

ない



「ごめーん!井ノ上君〜!」「あっ……佐々木さん」
「遅くなってごめんね……委員会が長引いて…」
「大丈夫だよ」
「ありがとっ!んじゃ帰ろ」「あぁ」



ほらっ

僕はバカだよ









『彼女』に似てる人と
付き合ってるよ



でも






君とはまったく違うよ









「井ノ上君?どうしたの?」


君とこの子は違う


ザァァ………



「ううん…何でもないよ」



本日も雨だ


『彼女』を思い出せる


雨だ