会長は黙ったまま、私の手を握る力を強める。 冷たい手。 だけどさっきと手とは違う、優しい手。 ひんやりとした会長の手が、恐怖感を取り除いていく。 ていうか、手! 落ち着いた瞬間、握られた手に顔が熱くなる。 「もう大丈夫です!落ち着きました!」 言いながら手を離して、立ち上がる。 「本当か?無理してないか?」 会長は私の顔を覗き込む。 「本当です!戻りましょう!」 私が倉庫を出ると、会長は納得しない様子でついてきた。