真っ暗で、何も見えなくて。 腕にまつわりつく固い手。 降りきろうとしても敵わない。 圧倒的な力の差。 悔しくて、怖くて… 「おい、大丈夫か?」 ハッと我にかえったのは、会長が声をかけたから。 私はため息をついた。 早く戻らなきゃ…。 「夏村、ごめん」 突然の謝罪に驚いていると、会長の手が私の手を握った。 「いやっ…」 とっさに手を引いたが、握られた手はそのまま。 「離して、ください…」