「もう大丈夫だ」 会長は笑った。 素の笑顔だ。 「だからもう泣くな」 私は顔に手を当てた。 濡れている…。 私、泣いてたんだ…。 私は手の甲で涙を拭った。 「泣いてません」 「落ち着いてきたか?」 会長は笑いながら聞く。 「あ…少しは」 早く戻らなきゃいけないのに、体の震えと恐怖感は残ったまま。