~ 洸 ~ 「あ……」 夏村は小さく言った。 怯えてる。 それがありありと伝わってくる。 小刻みに震える体。 服を握り締めた手。 夏村は膝に頭を乗せて、肩で呼吸を繰り返している。 マイク越しに夏村の悲鳴が聞こえた時、走る足が、遅く感じた。 泣いている夏村を見たとき、奴らを殴りたいという衝動にかられた。 どうすればいい? 今、目の前で夏村が泣いている。 一人で、泣いているんだ。