東京に行く当日。

 駅のホームには純一と由香が見送りに来てくれた。

「遥、落ち着いたら連絡ちょうだいね」

 少し寂しそうな純一がいた。

「寂しくなったらいつでも帰ってきなよ」

 遥は手を横に振った。

「ない!ない!」

《ピー!扉が閉まりますのでご注意ください》

「由香、純ありがとう。元気でね」

 扉が閉まると同時に遥は階段を駆け上がりこっちに向かって走ってくる蓮に気づいた。

(蓮!なんでいるの!?)

 新幹線が動き始めた時立ち止まり蓮は叫んだ。

「なんで言ってくれなかったんだぁ。子供できたことも東京行くことも。遥ぁ!」

 遥には蓮の声が届かなった。

 蓮はその場にうずくまった。

 ここに来たことで妊娠のことも東京に行くことも蓮がすべて知ってると気づいた。

 遥は扉にもたれながら泣いた。

(蓮、ごめんなさい)

 2人は会話できず新幹線はホームから遠ざかっていった。