その日の夜に家族で久しぶりに食事をした。

 今までにはない沈黙の食事。

 食べ終わって遥は部屋に戻ろうとした。

「話があるから遥は座りなさい。綾は部屋に戻ってなさい」

 綾がいなくなりさらに重い雰囲気になった。

 母親は遥の正面に座った。

「今日は私が話します。あなた、いいですね」

 父親は軽くうなずいた。

「いろいろ調べました。今日連れてきてくれた男の子とまだ会っていたのね!一時期は会ってなかったのに」

(何!?なんで知ってるの?)

 とっさに立ち上がって、母親を見おろした。

「調べるって何?」

 父親が口を開いた。

「調べたくはなかったが親として調べないわけにはいかんだろう」

 遥は頭を抱えた。

(悩んでる場合じゃないけどわけわかんない)

「親がどうして自分の娘にそこまでするの?」

 父親は深くため息をついた。

「水野家の長女だからに決まってるじゃないか。私だって心配してるんだ」

(誰と付き合うのなんて私の自由なのに)

「会社の将来が心配なんでしょ?」

 あきれ顔で母親は首を振った。

「遥はもう子供じゃないのよ。遥には孝行君がいるじゃない。もう少し考えて行動しなさい」

 親に決められたような将来に嫌気がさした。

「わかった。お父さんとお母さんの言うことを聞けばいいのね」

「わかったならいい。いつまでも子供の考えはやめなさい」

 遥は涙ながらに部屋に戻った。

 将来のこと、親や友達のことをすごい悩んだ。